「でも今日の葵は何か目を惹くんだよね」
「嘘」
「気づいてない?男子がすれ違うたびに葵を見ていくの」
言われてみれば思い当たる節もある。
でも、それは和希と一緒にいたら時々あった事だし。
大体、和希の方が普段は目を惹いてるって気づいてないのかな?
きりっとした顔立ちでかわいいと言うよりも綺麗なんだけど冷たい感じじゃなくて、
性格が良い意味でも悪い意味でも奔放で言動が派手だから余計だけど。
「それは和希に見とれてたんじゃないの?」
「違うよ。絶対葵だって」
「そうかなぁ」
そうして話していると美術室に到着。
いつも定位置にしている席に着くとほっと息をつく。
和希と話しているとその間だけは忘れていられるけれど
それでもちょっとした心の隙にパパの事を思い出して胸がきゅっとなる。
「それにしても。葵をこんなにも綺麗にしちゃった相手って見てみたいなぁ」
「何?やっぱ佐藤って誰かとつきあってんの?」
隣に座った和希が私に話しかけると、
不意に横からクラスの佐々木くんと隣の組の杉本くんが声をかけた。
「そだよ。最近つきあい始めたんだって」
私が返事をするよりも先に和希が二人に返事を返す。
「和希ぃ」
「いいじゃん別に。いちいち断る手間が省けるでしょ?」
いちいち断る手間?
和希が私をちらりと見ながらにやりと笑い、二人に話しかける。
「急に綺麗になったもんね」
何だか声が大きい気がするんだけど。
「そうなんだよな」
「そうそう。あれ、佐藤ってこんなに目立つ奴だったっけって」
なんて二人は悔しそうな顔をした。
「ま、そんな訳で告っても無駄だよ。
他の男子にも言っておいてっていうか広めておいてくれるとありがたいな」
和希は二人ににっこりと笑みを向けた。
「和希?」
「他にも同じ事しようとしてそうなのがいるみたいだから。
それに葵も嫌でしょう?いちいち断るの」
「そ、それは……そう……だけど……」
でも、そんな心配しなくても良いと思うんだけど。